弦楽4重奏’凛’ 3/20のコンサートまであと少し。お席も満席間近になり嬉しい限りです。応援いただきどうもありがとうございます。

Vn.若旅 菜穂子 ・ 杉本 真弓 / Vla.手塚 貴子 /Vc.薄井 信介
・
演奏会のプログラムについて、曲ごとに綴っていこうと思います。まずは1曲目にお送りするベートーヴェン乃弦楽4重奏のことを。
まず、カルテット結成のお話から。ビオラの手塚貴子さんより、カルテットをやりませんか?とお誘いをいただいたのがきっかけで’凛’が生まれたわけなのですが、貴子さんの1番の目標はベートーヴェン弦楽四重奏全16曲を演奏したい、というものでした。私も同じように、ベートーヴェンをしっかり学びたい気持ちがあり、他のメンバーもその思いは同じでした。
ベートーヴェンは、多くの作品を残していて代表作を上げるにも迷ってしまいますが、9つの交響曲、32曲のピアノソナタ、16曲の弦楽四重奏曲は中でも最も愛され傑作と言われています。ピアニストだった彼が作曲したピアノソナタは類のない名作。月光・悲愴・熱情などはとても有名ですね。9つの交響曲は、運命・田園・第9などと呼び名があるものもあり馴染みのある曲が多い中、弦楽4重奏曲はどうでしょうか。
馴染みのある曲はぐっと減るように思います。ではなぜ、ベートーヴェンの4重奏が愛され傑作と言われているのか..
その理由は、私も現在進行形で探しているし、日々気づいているところです。
4重奏は小さなオーケストラのようなもの。弦楽アンサンブルをするのに、一番適した最小の編成で、かつ大事な声部を十分に表現できる編成だと感じます。彼の4重奏の魅力は、作風や構造にも多くあるかと思いますし、とても良い意味で内向的に感情が表現をされているところかと。喜怒哀楽、渦巻く感情、悩み、苦しみ、安らぎ.. 人間らしい感情が4人のアンサンブルの世界の中で繊細に書かれています。
譜面を忠実に読むほど、彼の伝えたいことが見えてきます。楽譜の緻密さ、そして繊細に並べられた音符の構造に驚きます。強弱、音色、速さ、あらゆる奏法で感情を表現しようとする作業に加えて、彼の生きた時代の奏法だとどう弾くのか、とか、’凛’の解釈はこれ、というイメージを固める作業をリハーサルで行っています。
いつも同じ楽譜を見ているのに、毎度新しい発見がある。ずっと新鮮。そんな奥深い作品だからこそ、カルテットによって違う解釈が生まれ、それぞれの個性ある演奏が楽しめる。それも愛される理由かなと考えます。
今回演奏する第10番は、第1楽章にあるpizzicato(指で弦を弾く)奏法がハープを連想してさせることから’ハープ’と呼ばれています。いずれ全曲弾くということで、他のプログラムとのバランスを見て10番を選びました。色んな景色、色んな感情を眺めながら曲をお楽しみいただけたら幸いです。
☀️☂️☺️😌🤔😠😢💭🌩️🌼
